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診療放射線科

MR検査

検査方法

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頭部MRI(左:T2強調画像、右:MRA)

MRIとは、Magnetic Resonance Imagingの略で磁気共鳴画像と言います。単にMRとだけ言ったりもします。強い磁場と電波を利用して、体内から返ってくる信号をコンピュータで処理し臓器の断面などを画像化するものです。



検査所要時間(目安)

  • 約30分程度
    ※検査部位・内容によって若干異なります。

MR検査の特長と欠点

■特長
  1. 組織のコンラスト分解能が高い。(例えば臓器と脂肪と筋肉などの区別が明瞭にわかる)
  2. 組織の性状が把握できる。(例えば腫瘍に水成分があるか、脂肪を含んでいるかなどがわかる)
  3. 多断面撮像が可能で多方向からの臓器観察ができる。
  4. 放射線被ばくが無い。
  5. 脳血管などの血流を造影剤無しでも描出できる。
■欠点
  1. CT検査と比べ撮像時間が比較的長い。
  2. 大きな音がする。(装置内の傾斜磁場コイルに電気が流れるときにコイルがきしむ音です)
  3. CT検査と比べ空間分解能が劣る。

MR装置の特徴

磁場強度が0.15T〜3.0T(T:テスラと呼ぶ磁力の単位)まであり、磁場強度の違いから次の3種類があります。

  1. 永久磁石型:永久磁石を用いた低磁場装置。温度による磁場変動がある。装置重量が重い。
  2. 常電導型:コイルに必要な時だけ電気を流し、磁場を発生させる中磁場装置。磁場は不安定。現在あまり普及していない。
  3. 超電導型:コイルをヘリウムガスで冷却し電気抵抗をゼロにして、常時磁場を発生させる高磁場装置。磁場は安定。装置価格と維持費が高い。

※より短時間で良質な画像を得るには安定した磁場と強磁場が必要で、したがって、超電導型MR装置が最適と言えます。

当院のMR装置

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当院では、SIEMENS社製の超電導型MR装置MAGNETOM Skyra 3T(平成26年3月更新)を使用しています。この装置は、様々な多チャンネル部位別専用コイルや最新のアプリケーションソフトおよび高速撮像法を有しており、短時間での息止め撮像や、2種類の呼吸同期法を用いた撮像、非造影での血管撮像、高分解能な拡散強調画像などの撮像ができるようになりました。また、これまで圧迫感があったガントリも開口径70cmのオープンボアで奥行き173cmのショートデザインとなり軽減され、より自由度の高い体位での検査が可能となりました。


MR検査の流れ

■検査前の準備

次の物は、検査に影響したり、故障したりすることがありますので、検査前に取り外しておいて下さい。

  • 金属を含むもの…時計、メガネ、入れ歯、ヘアピン、ベルト、カイロ、金属のついた下着など。
  • 電子機器類…携帯電話、補聴器など。
  • 磁気を含むもの…キャッシュカード、駐車券、お札、エレキバンなど。
    ※お札:偽造防止のため磁気を帯びたインクが使われています。
  • 化粧品…マスカラ・アイシャドウなど目のメークアップ用品。
    ※目のメークアップ用品:酸化鉄など金属成分が含まれています。

更衣室で着替えをしていただきます。

  • 金属の付いた衣服は脱衣して、検査着に着替えてください。金属の付いていない衣服は着たままで構いません。
  • 頭部・顔面・頚部の検査の場合は、影響があまりありませんのでファスナーやホックの付いたズボンやスカートは穿いていても構いません。
  • 更衣室は施錠しますので、貴重品等も一緒に置いていてください。
  • 事前にトイレは済ませておいてください。ただし、膀胱の検査の方は尿が膀胱に溜まった状態で検査をしますので注意してください。
■検査について
  1. まず、体内金属の有無やアレルギーの有無などの再確認を行います。
  2. 検査部位によっては、胃腸の動きを抑える薬を検査前に筋肉注射することがあります。
  3. 検査室に入って、検査台に仰向けに寝ます。乳房など部位によってはうつ伏せで検査することがあります。
  4. 撮像中に検査部位が動かないようにバンドやクッションなどで体を少し固定します。
  5. 撮像中は「ガーガー、ビービー」というような大きな音が鳴りますので、MR専用耳栓やヘッドフォンを着けてもらいます。耳栓やヘッドフォンを着けていてもマイクを通して担当者と会話はできますので安心してください。
  6. 検査時間は、全部で30分ぐらいです。1回数十秒〜5分程の撮像を数回行います。検査内容や患者さんの状態によっては長くなる場合もあります。
  7. 検査中は体を動かさないように静かに休んでいてください。
  8. 息を止める撮像のときには、マイクで指示をします。
  9. 造影剤を使用する場合は検査途中で静脈注射をします。
■MR検査を受けるに当たっての注意事項

次のような方は、MR検査を受けることができません。

  • 心臓ペースメーカ(MRI対応の分も含む)、人工内耳、可動性義眼を体内装着されている方。

次のような方は、MR検査ができなかったり、できても画像が悪くなったりすることがありますので、必ず事前にお知らせください。

  • 体内に金属性のものを挿入されている方
    脳動脈クリップ、人工関節、ステント、避妊リング、お腹や骨折の手術後の金属など
  • 閉所恐怖症の方
  • じっとして寝ていることができない方
    小児(眠剤を使うことがあります)、痛みの強い方(鎮痛剤を使うことがあります)など
  • 妊娠中もしくは妊娠している可能性のある方
  • その他
    大きな入れ墨のある方、磁石で脱着する義歯を入れている方、弾丸の破片などの金属が体内に入っている方など
■MR検査用造影剤について

MR検査では、病変の存在や状態をより詳しく診るために「造影剤」を使用することがあります。
MR用の造影剤は、CT検査などで使うヨード造影剤とは成分が全く異なり、ガドリニウム(Gd)や鉄(Fe)を主成分としたものです。投与量は体重や検査部位によって変わりますが、10ml〜20mlぐらいで、静脈から注射します。
これらの造影剤は比較的副作用が少ない医薬品ですが、次の方は注意が必要ですので事前にお知らせください。

  • 喘息やアレルギー体質の方
  • 過去に造影剤で副作用のあった方
  • 妊娠中もしくは妊娠している可能性のある方および授乳中の方
■検査当日の食事について

検査当日の食事については、検査部位によって制限が異なります。

  • 腹部・骨盤部以外の部位の場合
    原則的に食事制限はありません。
  • 腹部・骨盤部の場合
    これらの部位は消化管の蠕動運動が影響しますので、検査前の食事は控えてください。つまり午前中に検査のときには朝食を、午後から 検査のときには昼食を控えてくださいということです。病院から処方されているお薬は通常どおりに服用してください。
  • 胆嚢・胆道系・MRCPの場合
    これらの部位は食べたり飲んだりすると描出が非常に悪くなりますので、検査が終わるまで朝から食事や水分は控えてください。ただし当院で準備されたゼリーに関しては指定の時間までに摂取可能です。同じ腹部・骨盤部の領域でありますが、制限が違いますので注意してください。
  • その他不明な点はお尋ねください。

MR検査情報

■肝臓疾患

肝腫瘍の描出および質的診断には、肝特異性造影剤であるEOB・プリモビスト(Gd-EOB-DTPA)が非常に有用です。プリモビストは造影剤血流動態による 評価と肝細胞機能による評価を1回の静脈内投与により可能とする造影剤です。造影剤を急速静注しながら連続撮像するダイナミック法(dynamic study)を用いて血流の情報を得て、造影剤投与後5分〜15分後の肝細胞造影相を撮影することで肝細胞機能の情報を得ることが出来ます。パラレルイメージング手法を用いることにより、短時間の息止めでの検査が可能となっています。また、3D撮像することでスライス厚も細かくなり、更に得られた画像よりサブトラクション(差分)画像を作成することで、より小さな肝腫瘍の描出および質的診断能を向上させています。

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肝ダイナミック(動脈相)
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肝ダイナミック(門脈相)
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肝ダイナミック(平衡相)

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肝細胞相

■脳血管障害

脳梗塞は、発症後の時期で超急性期(直後〜24時間)、急性期(1日〜7日)、亜急性期(1週〜4週)、慢性期(1ヶ月以降)に分けられます。超急性期において拡散強調画像(DW: Diffusion Weighted Imaging)が撮像可能となり、発症後1〜2時間で虚血巣を検出でき、より早期の脳梗塞診断が行えるようになりました。また、RESOLVE(Readout segmented EPI DWI)を用いてより歪みの少ない画像が得られるようになりました。一方、脳血管については造影剤無しでMRA(MR Angiography)を撮像して血管の閉塞や狭窄、走行異常、動脈瘤の有無などの診断を行っています。また、撮像には3D法を用いていますので、画像を回転して多方向から観察するときもガタツキのない滑らかな画像となります。撮像時間は現在6分程で可能となり、更にスライス厚を細かくすることによって小さな病変もより発見し易くなりました。

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急性期脳梗塞 DWI
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急性期脳梗塞 ADC

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急性期脳梗塞 MRA
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RESOLVE

■脊髄疾患

椎間板ヘルニアなど脊髄疾患の画像診断には、非侵襲的な検査の中でMR検査が最も有効です。したがって、以前より頻繁に行われています。最近は脊髄液のみを強調して描出し、MIP(Maximum Intensity Projection)画像処理を行い脊髄圧迫の様子を多方向より観察する撮像方法、いわゆるMRミエロも行われています。また、専用の処理技術により頸椎〜腰椎までの画像を位置ずれの無いように表示する事も可能です(撮影時の設定が必要です。別の日に撮影した画像は組み合わせ出来ません)。

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頸椎ヘルニア
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腰椎ヘルニア

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腰椎ミエロ撮影

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頸椎〜腰椎組み合わせ画像

■MRCP

MRCP(MR Cholangiopancreatography)とは胆汁や膵液のみを強調して描出し、胆道系や膵管の内腔情報を得るもので、造影剤を使用することもなく非侵襲的で簡便な膵胆道系のMR検査です。MRCPにより胆石や総胆管結石、胆管膵管拡張などの診断が容易に行えます。検査は呼吸同期法や息止め法を用い多方向から撮像し、その画像を元に画像処理を行い胆嚢・総胆管や膵管を描出します。現在の撮像は3D呼吸同期法を用いることで、従来の2D法に比べより細かな部分まで描出できるようになり診断能も向上しました。ナビゲータパルスによる呼吸同期法である PACEとの併用によって、モーションアーチファクトをより軽減することができます。また、RARE(SS法)という高速撮像法を用いると僅か2秒で膵胆道系全体影が一度に描出できますので、高齢者や息止め苦手の方にも非常に有用です。この撮像法は腎臓から膀胱までの尿路系を描出するMRU(MR Urography)にも用いたりします。

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MRCP 総胆管結石(MIP)
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MRCP 総胆管結石(RARE)

■婦人科疾患

放射線被ばくがない、臓器のコントラストが良いという特長を活かして、子宮筋腫や卵巣腫瘍など婦人科領域の画像診断にもMR検査は多用されています。高感度の腹部専用コイルを用いることにより画質が向上し、子宮内膜・junctional zone・筋層の三層構造も描出可能となりました。また、脂肪抑制撮像や造影撮像を行って質的診断能も高めています。

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子宮筋腫
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卵巣のう腫

■乳房

乳房の検査はX線撮影(マンモグラフィー)がよく行われています。MR検査はマンモグラフィーほど簡便ではありませんが、高いコントラスト分解能を活かして乳房のような軟部組織撮像にはとても適しています。検査は乳房専用コイルにうつ伏せに寝て撮像します(うつ伏せが困難な方は腹部専用コイルを用いて仰向けでも検査可能です)。痛みなどはありません。造影剤を急速静注しながら連続撮像するダイナミック(dynamic study)撮像が特に有用で、得られた画像より腫瘍のダイナミック曲線を描きます。これによって腫瘍の進展範囲の把握や良性悪性の質的診断を行っています。 またdiffusion(拡散強調画像)によりさらに診断能が向上しました。

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乳房片側撮影

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乳房両側撮影

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diffusion

■心臓

心臓は拍動や呼吸の動きが画像に影響してMR検査(特に3T)には難しい部位ですが、True FISPというステディステイト法による高速スキャンと息止め心電同期法を用いることにより、心筋の形態などを描出できるようになりました。また、得られた画像をシネ表示することで心臓の動きや血流を観察することもできます。造影剤を用いることにより心筋Perfusionや、遅延造影の撮像も可能です。

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心臓シネ撮影

■動脈

胸部から腹部の大動脈や下肢動脈など頭頚部以外の血管については、造影剤を使用しての3DMRアンギオ撮像を行っています。検査台を移動させながら撮像を行い、腹部から足先まで広い範囲の血管情報を得ることができます。得られた画像をMIP処理して観察し、血管の閉塞や狭窄、走行異常、動脈瘤の有無などを診断しています。また、新しいアプリケーションであるNATIVE(Non-contrast mra of ArTerIes and VEins)法を用いることで、非造影での撮像も可能となりました。

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非造影MRA(腎動脈)
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非造影MRA(下肢動脈)

上記の他にも内耳、眼窩、甲状腺、腎臓、副腎、前立腺、膝関節など数多くの部位のMR検査を行っています。MR検査上の注意としては、心臓ペースメーカを装着されている方や人工内耳を埋め込まれている方は検査を受けることはできません。腹部検査では消化管の蠕動が画像に影響する場合、蠕動抑制剤(抗コリン剤)を使用することもあります。また、体動も撮像に影響するので乳幼児は眠剤を使用してからの検査になることもあります。その他、装置の特性で撮像中は大きな連続音が鳴りますが、当院ではMR専用耳栓またはヘッドフォンで軽減し、かつ患者さんと検査担当者とは会話ができるようにしています。

以上のように検査上若干の制約はありますが、MR検査は病巣の形態だけでなくその質的診断も可能で血流状態なども把握することができ、現在の画像診断において欠かすことのできない大変有用な検査のひとつです。今後も病気の診断には勿論のこと予防医学にも大いに貢献していくものと思われます。




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